PERSONA3 UNDER TEXT

また来る明日


 ニュクスとの戦いの後、一度は失くしかけた記憶、それを取り戻した今。

 俺の部屋のベッドの上。既に順平の上に跨っているが順平も珍しく微笑みながら俺の首に手を回す。

「久しぶりっスね…」
「ああ」
「思い出せて…よかった」
「馬鹿いえ、俺が言わなきゃ忘れたままだったろ」
「はは…」
「…言っておくが溜まってるぞ」
「それ、優しく出来ない…ってことっスか…?まぁ、いいっスよ。オレだって自分でしかヤッてねぇから…意識飛ぶぐらい、よくしてくださいよ」
「フっ…後悔するなよ」

 久しぶりのキス。深く深く何度も顔の向きを変えて舌を絡ませる。ああ、この感触…順平の体温…一ヶ月ちょっと…その時間を埋める様に激しく、そして言葉に出来ない程の愛をお互いにぶつけ合う。

 余裕なんか無くて、ドレスシャツを半ば引き裂くように前を開いて身体中にキスを降らす。

「ぁっ…真田、サン…っ、…ぁぅ…」

 久しぶりだからだろうか、順平の感度が前よりも良い。触れるだけで、全身を震えさせる。

「もう…キスだけで感じてきたか?」
「…っ、…仕方が無いっしょ…ずっと…」
「そうだな…俺も身体が疼いて堪らない」

 ベルトを引き抜き投げ捨てて、下半身を露にする。そしてまたキスを降らせる。荒っぽい仕草だが、甘い空気が二人の間には充満していた。

「ぅっ…ァあ…ッ、…あ、んま…シたら…出そ、う…」
「じゃあ、もう挿れるか…?」
「な、慣らしてから…入れてくださいよ…、一応ある程度…自分で前処理、してるっスけど…」
「分かってる」

 指を突き入れ、前立腺を探し当てると集中的に攻める。それに順平は面白いように反応して身体を反らし、声を漏らした。

 いつもは抑えるのに…随分積極的じゃないか。

 挿れても痛くないように丁寧に解しつつ、俺も前を寛げて、自分の性器を順平の性器に押し付けるようにして刺激する。もう二人とも既に先走りを滴らせていた。


「真田、サン…っ、…もう…勃ってるじゃないっスか…、あ…、っれに…優し、いしっ…」
「…当たり前だろう。俺も早く挿れたいが、お前が苦しくなる」
「…っ、…、いいっスよ…挿れて…、オレは…、…大丈夫…っスから…」
「だが…」
「挿れてっ、下さい…っ、はっ…真田サンの熱が…早く、欲しっ…」

 薄い胸板を大きく上下に動かし、息を荒くしながらニッと笑顔をつくられる。反則だ…抑えられなくなるだろ。

 順平の好意を受け入れたのか、自身がもう抑えられなくなったのか。きっと両方だ。出来るだけ痛くないように、ゆっくりゆっくり順平の中に自分自身を挿れていく。

      ッ!!ァあ…ッ」
「…くっ、…順平…ッ、…大丈夫か…?」
「あっ…ぐ…ッ、…は、い…動いて…下さい…ッ」

 どう見ても苦しそうなのに、コクコクと首を縦に振って俺を受け入れようとする。その姿が堪らなく可愛らしくて、いじらしい。

 順平のモノを掴んで擦ってやりながら自分のモノもゆっくりと動かす。こうすれば意識が移って多少痛みが減るだろう。

 二箇所の攻めで、順平の喘ぎ声が更に高く甘くなって、縋るように強くしがみ付いてくる。

「ぅぅっ…出…る…っ」
「ん…出していいぞ…」

 そう言いながら促すように熱く盛る熱を素早く擦ってやるが、順平はブンブンと首を激しく横に振って拒絶を表した。

「まだ…っ、…先にイけねぇ、っス…、んぁっ……い、一緒に…っ」
「…っ順平、…だが抑えられないだろ?」
「オレっの…い、イけねぇように……、っ…はっ…、縛って、下さい」
「!?…おい、あまり無理するな…二発目で一緒にイけばいいだろ?」
「っやだ…っ、      ね、真田サン…っ、…真田サンだか、ら…ここまで…するんスよ…?」

 首に回した手に一層力を込め、愛おしそうに瞳に俺を映す。導く天使か、惑わす悪魔か。いじらし過ぎる姿に理性が飛びそうで怖い。順平が発する言葉、仕草、全てが俺を好きだと言ってくれているみたいで嬉しくて堪らない。

「…、じゃあ…縛るが…限界がきたら言うんだぞ…?」
「うっす…」

 首にかかっている自分のリボンを解いて、順平の性器の根元に巻きつけて少しきつめに絞める。流れを滞らされた性器は、はち切れんばかりに赤く充血していた。この状態が痛くて苦しいと同じ男として分かっているから申し訳ない気持ちで一杯になる。反面、愛しさを身体で表してくれているのかと思うと幸福感で一杯だ。

「んぐぅっ…ッ…ぁ…、…、ハァっハァ…ッ」

 ここまでしてくれる順平を今までにないくらい気持ちよくしてやろうと、全身で呼吸をし、刺激に耐える順平の中を腰が痺れるほど素早く、激しく突き上げた。

「…んあッ!!」
「痛い、か…?」
「ハァハァ…き、もちっスから…やめ、ないで下さい…」

 その言葉に大きく頷くと、順平を抱き締めるようにして何度も突き上げた。その度に快楽の甘い声と縛られているのを耐える声が漏れる。

 自分も必死になりながらも順平を垣間見ると、顔を真っ赤にして快楽からか、苦痛からか、涙を頬に伝わせながら、しがみ付いていた。行為だけ見れば猿の親子のようだが、そこには紛れも無く可愛い恋人がいた。

「真…っ田さ…っ、あァっ…、ご、ごめ…オレ…っ、も…だ、駄目かも…ッ」

 我慢の限界なのか、密着させてきた太腿が痙攣し始め、顎を仰け反らせ、順平の全身がガタガタと大きく震えだした。それまで散々突いていた自身は途端に収縮を繰り替え始めた腸壁に圧迫されて、同じように限界へと持っていかれる。

 急いで順平の欲を殺しているリボンを解いて、組み敷く順平を強く抱き締めて密着を濃くする。

「俺もっ…限界だ…一緒に、イクぞ…」

 返事は喘ぎで掻き消されるが、代わりに揺られながらも首を必死で縦に振られ、了解を得る。

 それを合図に自身を強く打ち付けて、反動で順平が俺を飲み込むのを繰り返す。卑猥な水音さえも、今は心を掻き立てる一つにしかならない。

「んっんっ…っ!!あっ…さ、なだ…さっ…っ、アっ      …ッ、…んあぁッ…ッ!!」
「うぅ…ッ、順、平…ッ」




 何分経っただろうか。本当なら身体を清めなければいけないところなのだが、そんな気にはなれず、脱力したまま腕の中で眠る順平を抱き続けた。

 頬を撫でていると、そのうち瞼が僅かに震え、喉奥から声が漏れると、薄っすらと目を開けて、ぼんやりとした眼に俺を映した。

「起きたか…?」
「…、…ん、…真田、サン?…え?…あっ、わ…ホントにオレ…気ィ失ったのか…」
「…ああ」

 ぎゅっと苦しい程に布団の中で更に抱き締める。火照る身体は、今ここに存在することを、生きていることを強く示していた。

 もう二度と離さない。いや離せるものか。あのニュクスとかいう、世界を滅ぼそうとしていたものにさえ、皆を、俺たちを引き離せなかったんだ。

「やっぱ、あったけぇなぁ…真田サン」
「…お前もな」

 締める身体をそのまま俺に委ねながら、胸に額を押し当ててきた。呟く声は小さく柔らかみを持って、しかし少し縋るようでもあった。

「…、…幸せっスよ…オレ、色々あったけど…それがなかったら、今こうしてねぇし…」

「ああ」
「また明日が来るんスよね…?」
「ああ」
「明日も一緒にいれますよね…?」
「ああ」
「…ずっと傍に…いてくれますか?」
「ああ」
「……よかった」

 安心したように、また目を瞑る順平の頭を撫でる。ようやくあらゆるものから解放され、日常に戻った今日。それが、どことなく何故か怖くもあり、哀しくもあった。

 ただ、今この胸に抱く熱だけは、幸福であることは間違いない。

「…一生お前を離すものか…」

 そう呟いたのを順平は聞き取ることが出来ただろうか。




fin.

甘々とのリクエスト品でした。
2006/10/22

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