PERSONA3 UNDER TEXT

Gun Lesson C


 あー…なんっか…ここんとこ真田サンに無視されてる気がする。すげぇする。

 人の話を無視して会話が成立しねぇのはいつものこと。ンでも話しかけても無視、腕持っても無視、誘っても無視。空気のように存在を消されてる…これは…もしかしなくても怒ってんのか…?

 ヤベェ…こういう無言の怒りはヤベェ。怒ってるってのをあからさまに出す時の方がマシだ。怒鳴られて、最悪殴られれば何で怒ってたか理由が分かるし、大抵最後は許してくれる。けど…前、2度程無言の怒りを買った時は…死んだ。

 もー機嫌とるのに寿命5年分削られる勢いっつうか…謝っても効果ゼロだし。かと言って放っておくと…とんでもねぇことになる。1匹の虫放っておいたら知らねぇ間に500匹になってるってぐれぇの凄さ。マジありえねぇ。

 んー…人の機嫌はいつも気にしてる方なんだけどなぁ…いつ怒らせちまったんかなぁ…?真田サンは怒るポイントもよく分かんねぇからなぁ。いや、でもこのままにしとくとオレの身がヤベェし…


 順平は悩んでいた。ここ2、3日どうゆうわけか真田に口を利いてもらえないどころか、目も合わせてもらえないのだ。人に無視されたまま平気でいられるほど順平の神経は図太くなかった。むしろ誰かに嫌われるということは順平にとって大きなショックだった。

 というわけで、どうにかしようと真田の部屋の前でウロウロしていた。

 日曜の昼。誰もいない時を狙って部屋の前まで来たものの、第一声をなんとかけるか困り果てていた。それ以前に怒っているのであれば恐らくドアすら開けてもらえないだろう。

 怒られる覚えといったら…首を捻った時、目の前の扉が急に開き、真田が顔を覗かせた。

 驚きながら、とりあえず勢いで謝ってみた順平を真田は初め驚いていたが次第に無言で見つめていた。見られてるだけでもまだ存在消されてねぇからマシか。と思っていると、いきなり真田の手が伸び順平の胸元を掴み上げて部屋に引きずり込んだ。

 ドアを閉められ、鍵をかけられ、掴まれた状態で背中に汗が伝うのを感じていると、乱暴に手を離され、コロンと床に転がった。

 上半身を起こしながら、ああ…やっぱ殴られんのかなぁ…それで済みゃあ、まぁいいか。と思っていると胸から腹にかけて強い衝撃がきた。真田が順平を蹴ったのだ。

 そのまま、また床に上半身が落ち、身体を丸めるようにして2、3回大きく咳き込んだ後は、痛みに静かに呻いた。まだ完治していない腹の傷が少し疼いた。

 可笑しい、と頭の隅で思う。真田が怒るときはそのまま馬乗りにでもなって殴られるものだが、ボクサーだからか足を出してくることはなかった。しかも殴るときは大抵怒りを露わにするのだが、見る限り表情は変えていない。むしろ…どこか憂鬱そうな雰囲気を感じる。

 とにかく少しでも機嫌が良くなればいいと謝っていたのだが、真田は何やら袋を取り出してゴソゴソと中身を探っているだけで全く聞く耳を持っていなかった。

 それでも暫く謝り続けると真田が目線だけ順平の方を向いた。

「…さ、真田サン…悪かったっスよ…すいません…ね、真田サン…」
「……悪かったって何が?」
「え…いや、何がって…」
「分かってないんだろ。理由も分からずに…お前はすぐ謝って何とかしようとする」
「…でも…真田サン分かんねぇっスもん…明らかオレが悪いんだったら納得できっけど、分かんねぇっスもん…!」

 また、上半身を持ち上げて順平が言うと、真田は袋ごと持って近寄り目の前に腰を下ろした。

 順平は反射的に身体を少し後ろへと引きずったが、真田はそのまま冷静な様子で順平を見つめて呟いた。

「…考えてたんだ…」
「…な、何をスか…?」
「俺は…お前がいないと困る…と思う」

 順平は目を瞬かせた。展開が読めないのと、意外な台詞に、ただ真田をボケっと見ていた。先程の乱暴な態度と一変してこの真面目さ。たまに真田は情緒不安定じゃないかと思うことがある。

 そして気になったのが台詞。先日「オレは何」と聞いたときには「俺のもの」と言われたが…それに「遊ぶ」という言い回しを使っていた。つまりは玩具のように扱われていたと思っていたので一瞬、性処理に?と言葉が出そうになったが雰囲気的に違うらしい。

 順平はその辺は深く考えてなかった。玩具ならそれでもいいと思っていた。物事を何でも楽な方へ、楽しめる方へという思考だ。抵抗してもまず敵わないし、顔も拒絶反応が出そうな相手じゃなく、端整な顔立ちなのである。こっちも同じように利用していれば損はないし、気持ち良ければセフレとしてもまぁいいかと思っていた。何より真田も深く考えていなさそうなので普段と変わらずに楽に付き合える関係も気に入っていた。しかしどこかでこの関係は長く続かないとも思っていた。去る真田を自分は止めることはできない、だから今のうちに楽しんでおこうと、そう思っていたのだ。

 それを急に…順平が眉を寄せていくのを見て、真田はまた口を開く。

「お前は…俺をどう思ってる」

 また順平は目を瞬かせた。どうって…思わず、セフレ?など先程まで思っていたことが出そうになったがここでそんなことを言えるほど自分は無神経な人間ではない。

「あー…オレも…いねぇと困る…っスかね…」

 とりあえず同じ台詞を返しておいた。困るのは確かに困る気がするし…性処理に。

 真田は小さく息を吐き、一瞬斜め下を向いて、また順平に顔を戻した。

「お前、別に俺、要らないだろ」

 順平はまた瞬く。予想外の台詞が口を開く度に出てくる。どちらかというとその台詞を言うのは自分のような気がする。それにそんな風に言われると自分が酷い男みたいではないか。自分は被害者の方だとも思う。

「…お前は俺が飽きたら捨てると、当然のように言った…」
「え…言いました?」
「言った」
「…でも…それ間違ってないっスよね。真田サン、遊び感覚じゃないっスか。遊び遊びって言ってるじゃないスか」
「……」
「大体…オレらの関係って…長く続くとは思わねぇし、オレは遊びっつーなら別にそれでいいと思うし…」

 真田は順平が喋る度に悲しそうな顔になっていき、最後には頭を落としていた。順平はこれではまた自分が酷い男のようだと少し焦り、真田が遊びだとか、俺のものと好き勝手言っていたと強調した。すると真田は徐々に落ちていた顔を上げていき頭を軽く掻いた。

「初めは…好奇心だったと思う。言っただろ、何とかしてやろうなんて思ってなかった。ただ…手元に置いておきたかったし…俺が面倒見てたっていう自負があったから…俺の、順平だと…そう…」
「何が…言いたいんスか…?」
「…俺以外のものになるな…なんて言ったらお前…重く考えるだろ」
「…は…?別に誰かのモンになるなんてオレ言ったっスか?」
「…だから俺は、そう軽く考えていないし…簡単に捨てるなんて、しない」

 何度目を瞬かせればいいのか、真田の考えは常に予想の斜め上だったが今日以上のことは無い。

 たどたどしい台詞を要約すると、自分が飽きたら捨てると言ったことにどうやら引っ掛かっていたらしい。また真田は順平は俺のものという考えが強いらしく、今の関係を大切には思っているらしい。

 そう関係を重く深く考えていなかったので、真正面から来られると困るというのが本音だった。

「オレが…なんつーか…軽々しいこと言ったんなら、すいません…別に何気なく言ったことだと思うんで、ンな…」
「…不安だ…」
「え?」
「お前は…流されやすい。俺じゃなくても…誰でも…」
「何スか…オレ自体が軽い奴みてぇな言い方っスね」
「初めに助けていたのが別の奴だったら?遊びで誘ってきたらどうだ?それが美鶴や岳羽だったらお前は雰囲気で相手の言うとおりにするだろ」

 少し、頭にきた…が、確かにそうかもしれないとも思う。女の子なら別に断る理由も無いし、押されたら簡単に落ちる、と思う。他に関しても抵抗するだろうが、何だかんだ言い包められて迫られれば正直どうなるかわからない。想像は出来ないが。

 順平は何となく気まずく感じて視線を泳がせた。大人しかった真田は順平が動揺しているのを見てか、泳ぐ視線を捕えるかのように一気に間合いを詰め、手を伸ばし、顎をと言うより、頬から喉にかけて片手で掴めるだけ掴んで顔を合わさせた。順平はさらに目を泳がせた。

「…図星だろ…俺でも嫉妬ぐらいするぞ」
「っ…いやいや、別にまだ…考えてただけで…っ」
「お前は…もっと、こういうことは大事に考えていると思っていた」
「…じゃ、じゃあ、本気にしろっていうんスか…っ」

 あんな風に関係を始めておいて責められるなんて理不尽じゃないか、と順平が真田に詰め寄ると一瞬目を逸らせた。

「可笑しいっスよ…だったら初めからそういう態度取ればいいじゃないっスか。あんな風に流して…今さら…!」
「…やり方を間違ったとは思ったさ。俺も未だに自分がどうしたいのか、よく分からない。けど、それらしくしたってお前はハッキリしないだろ?変に距離をとっただろ?」
「…なら…真田サンが怒んのは間違ってるっスよね…?自分がそうしないで…オレが悪いなんて間違ってんでしょ…っ」
「…、…初めからやり直したいと…たまに思う。だが…」
「べ、別にいいじゃないっスかっ今のままでも…オレ、今のままがいいし…」
「ああ…だから…だからせめて…手放さないように努力したんだ」

 掴まれている手に力が込められて、革が擦れる独特の音が鳴った。最後の台詞と一緒に真田の周りの空気が変わった気がした。

 直感的に嫌な予感がして離れようと顔を振ったが、手は振り解けず、掴まれたまま床に押し付けられた。後頭部を強打して呻く順平に真田は言葉を続けた。

「俺が、ただアブノーマルなプレイを好んでお前にやり続けたと思ってるのか」
「ぅ…な、に…」
「言ってただろ、自分で。変な身体に仕込んでどう責任とるんだ、女相手にドライでイけというのか…ってな」
「それ…え…っ…ハハ…じゃあ、わざと離れねぇようにとか…?まさか…」
「それに俺が使ってる潤滑剤やたまに飲ませてる薬の類。アレは習慣的に使うことによって一種の中毒症状を引き起こすそうだ」
「な…っそん…中毒って…ンなわけ…っ」
「…地味にし続けてた甲斐があった。結局どう思おうが…お前、もう俺から逃げられないわけだ…順平…」

 可哀想にな、と喉で笑われる。順平の顔から見る見る血の気が引いた。初めから真田は順平がどう思っていようと手放す気など皆無だった。

 順平が唖然としている間に真田は圧しかかる様にして、慣れた手つきで服を脱がせていた。恐怖して順平がバタついても真田は涼しい顔で、両手を掴み上げ後ろ手に縛りまた脱がす作業を再開した。背と床に縛られた手が挟まれて痛そうにする顔さえも興奮材料でしかないようだった。

「っつ…痛ぇ…、真田サン…っやり方おかしっ…っ」
「せっかくここまで仕込んで作り上げたんだ。簡単に捨てて誰かに拾われてたまるか」
「っンな常識抜けたこと…狂ってんのかよ…っ真田サンっ」
「…俺もこんな束縛の仕方はやめて…そろそろ丁寧に扱おうかと思ったが…あれを聞いてはな…」
「…あ、謝る…っ、…今度はちゃんと理由も分かってっから…っ真田サンがマジに考えてるなんて、オレ知らなかったっスから…」
「いいさ。仕込めばいいだけだ。飽きても…傍で飼っておくというだけの話だ」

 変に笑うのが怖い。順平は身体をなおも捻らせて逃亡を図ったが全くなんの意味も成さなかった。

 真田は順平の上着を肌蹴させベルトを引き抜くと、ふと顔を上げ何か思い出したように先程持っていた袋の中身を探った。

 出てきたのは何やら変に明るく色づいた液体が入った掌に包めそうなぐらいの小瓶だった。

「口を開けろ」
「なっ何スか!?つか無理ッ!ンな不気味なモン…っ」

 順平は首を激しく左右に振り、口を真一文字に固く閉じた。真田は予想していたのか特に気にした様子もなく小瓶を持っていない方の革手袋の指先部分を銜え、引っ張り脱ぐと骨ばってはいるが長く白い、綺麗な指が姿を現した。

 真田の革手袋に覆われた肌を見ることは寮にいてもなかなか無い。順平もその白い指先を目にするのは、海と風呂と自分を抱くときだけだったと記憶している。貴重なだけに普段は自分がこの指を独占しているような気がして好きだった。何より特別を感じさせてくれる。熱くなるのだ。

 しかし行為に直結するそれは今は非常に遠慮願いたかった。この状況では楽しむことはまず出来ない。ヤられるからには、中も外も精神も肉体も陵辱され壊されるのは目に見えていた。

 その綺麗な指が近付いてくるのが恐ろし過ぎて、顔を思いっきり逸らしたのだが、その程度でどうにかなるはずはなく、簡単に顎を掴まれた。真田の長い指が顎に手をかけたまま親指で歯をこじ開け押し込み隙間を作ると、そこから液体を流し込まれた。

 真田はすぐに順平の鼻と口を押さえ込み強制的に液体を飲み込ませると、次はスラックスと下着を剥ぎ取って、また袋から出した入れ物の中身のクリーム状のものを順平の秘所にたっぷりと塗り込んだ。それだけでは足りないといった様子で妙な液体も注入された。


「…あ!?」

 効果はすぐに表れた。まるで薬用の塗り薬を塗られたようなジンジンとした熱さが急激に疼いて順平は激しく悶えた。シルバーネックレスと床が擦れる音を響かせ、のた打ち回り奇声に近いような大声を発した。そうでもしないと気が狂いそうになっていた。

 何処から仕入れてくるのか知らないが、順平は媚薬を何回か使用されたことがある。感度が上がり、欲情し易い身体になる、その程度ならまだ驚かない程に慣れてはいたが、今回のは刺激がキツ過ぎる。1度に何種類ものまだ未経験の強力な薬を大量に使われたことで、頭から爪先まで性感帯のように身体が火照り、触れなくても達しそうにガクガクと身体を震わせ、目が潤み、涎が勝手に流れていた。

「最初は苦しいらしいが我慢しろ」
「うあ…ッ、…あ゛あ゛!?…なっ…コレっっ取…ッツ」
「すぐ良くなる。良いだけじゃ済まさないけどな」

 横腹を引っ掻いただけで、順平は堪らないといったような声を上げた。それに自分でも混乱したが、頭で整理する暇も与えずに真田は全身を愛撫し始めた。特にうっすらと残る腹の傷を刺激されると痛さにゾクゾク痺れた。触れる度に一々反応を返す自分が本当に玩具みたいだと唇を噛みながら思った。

 頭の生え際から、足の指まで時間をかけて愛撫し終え、真田は細目の縄で既に鎌首をもたげ始め液を垂らしている順平の根元を縛ると、内腿を甘噛みして痕を残した。順平は刺激に過剰に身体を反らせ、嫌だと首を振るが、真田はさらに痕を増やしていった。

 痕を付け終わると真田は射精できないよう縛ったソレを意地悪く掌で包み上下に擦った。真田の手の動きに合わせて膨張していき、先端からはトロトロと液が流れた。しかし射精を防がれている状態ではもどかしさに狂うばかりだった。快楽と苦痛が迫るように交互にやってきて、訳の分からない言葉を発し、震えを大きくさせた。順平が何を言っても暴れても真田は執拗に苛め続けた。

 順平の性器が縄の締め付けによって痛々しく変色しだした頃、真田が先を強く爪で抉る様に刺激すると、順平が仰け反り荒く喘えぎ、縛ったソレはビクンと打って、痙攣した。

「もうイったか?」
「っぁ…はっ…はっ…出し、てえ…っ、…ぅう…」
「上手に奉仕できたらな」

 達しても射精出来ずに苦悶の表情を浮かべ、泣き出しそうになっている順平に、真田はジッパーを下ろし性器だけ取り出し咥えろと命令した。順平は悔しそうに顔を歪めたが、仕方なく膝をついて銜え、刺激した。早く自分も楽にして欲しいと懸命に口と舌を使った。少し反応を示してきたかと思った頃真田の声が降ってきた。

「手が退屈そうだな」

 真田から口を離し、順平は怪訝な顔をした。真田は後ろ手に縛ってある手を持ち上げ無理やり召喚器を握らせた。困惑した目を向ける順平に目線で入れろと促す。それでも顔を火照らせ焦点を失いながらも戸惑う順平だったが真田に頭を掴まれ、咥えていたモノを再び捩じ込まれ喉を突かれると、苦しさにそろそろと秘所に移動させ、疼くソコにゆっくりと挿し込んだ。

 自分の刺激に反応して口が止まると、真田は喉を突き促した。それが数回続き、真田の性器が一段と膨らみを増したところで、止めろと順平の口から真田が自身を引き抜いた。途中順平はまた達しており、ぐったりとしつつも射精出来ていないことで激しく息をし、もどかしげに喘いでいた。

 まだ充血し、ビクビクと震えているのを真田は焦らすようにしながらゆっくりと絡みついた縄を解いた。抑えられていた液がドクンと流れだしたものの消化不良のようなもので全く萎えることはなかった。真田は解いただけでモノには触れようとせず、順平のシルバーネックレスを掴み上げ身体を起こした状態にし、首や胸を弱く愛撫した。虚しく先端から液を流すだけで膨張が治まっていない性器にも触れてもらえず、熱く疼くところには自分で擦る召喚器の刺激しかない状態で焦らされ、ついに順平は啜り泣き始めた。

 真田も実際には射精する前に止めているので余裕はないはずだが、優位を崩したくないのかいつも弱音を漏らすことは決して無く、必ず順平を追い込む程の余裕を見せ、焦る態度は取らなかった。

「どうした」
「ン…、さ…ハァ…真田、サンっ…は、やく…ッ…熱、い…っぅぁぁ…」
「何だ」
「ああっ…も…もっ…狂、う…ッ!!…挿れっ…う゛…ちゃ、んとっ、イかし…ッッ」
「ならきちんと強請れ。何度も教えただろ、ハッキリと分かるように言え」
「っ…う…ね、ねだ…?っあ゛…ッ」
「どうして欲しいか言え」
「う…う…これ、じゃ、足んね…っ…さ、真田サンのっ…ゥ゛っ…挿れ、て…くだ…っくだ、さい…ッッう゛う…」
「…まぁ、これぐらいが限界か。だいぶ理解力が欠けてきてる」

 真田は順平をうつ伏せに寝かし、腰を持ち上げた。縛られているために上半身を力なく倒している状態になり、床で真横を向く首が痛く手の縄を解いて欲しいと頼んでも聞き入れてくれなかった。縄を解いても上半身を支えられる状態ではないが、ベッドにも移してくれない真田をうまく働かない頭で恨めしく思った。

 持ち上げた腰の先には順平が差し込んだままの召喚器が生えていたが、真田はそのまま自分のモノも無理に捩じ込んだ。先程まで弄っていたのと薬の為に入るには入ったが、順平は急の痛みと圧迫感で声にならない苦痛の叫び上げ、腰を逃がそうとしたがその分引き寄せられて奥まで打ち付けられた。

「っつ      あ…あ…」
「っく…何だ…っ入るもんだな…嬉しいだろ、中、一杯にされて…召喚器も、俺も、味わえて…」
「…っい…あ…あ…む、無理…っ、…ンなの…あ…あ…」
「美味そうに喰ってる…もう…これ無しじゃ、無理だろ…?自分だけじゃ、物足りないだろ」
「うあ…あ…あ…」
「なぁ、順平…俺が、要るだろ…捨てられたら、困るだろ…」
「っァ…さ、なだ…サ…っ」
「お前は俺が、俺が拾ったんだ…俺が教えてやったんだ…もし、要らなくなっても…俺の、順平のままだ      …っ」

 順平はもう聞いているのか分からない状態だったがそれでも真田は呟き、荒く打ちつけ続け、順平が達したのも気付かずに抱き、中に射精した。

 息を整え、召喚器だけを引き抜いた。ほとんど意識を飛ばしかけている順平を捉えると、身体を横に向けて続きをしようとしたが何故か止め、縄を解き仰向けにして膝の間に腕を通し、折り畳むような格好をさせた。真田のモノが入ったままの上に膝が胸の位置ほどにきているために順平は苦しさに喘いだ。

「寝るな…順平」

 腹の傷に爪を食い込まされ熱さと痛さに身体が跳ねる。つぅっと痛む傷から何か流れる感触がして、ああ血ィ出たな、と順平がぼんやり思うと腰に衝撃が来た。やめろと言おうとしたら喘ぎに変わって、重く怠いはずの身体がまた痛いぐらいに火照るのを感じた。薬の力も手伝ってまた自身が勃ち上がってくると、それも一緒に擦られて順平は狂わんばかりに悶えた。召喚器を抜かれたせいか、熱さと快楽が強く支配していた。

 自由になった手がもどかしくて、何とかしたくて真田の方に手を伸ばしたものの思ったよりも遠くて届かなかった。腕の関節が外れそうな程夢中で伸ばすと真田の髪に触れた。ああ銀髪だ、綺麗だ、オレの銀髪だ、そう思って握り締めたが髪だからか安定しなくて何度も握りなおした。すると真田が自分の方に頭を近付けてきたので、そのまま頭を両手で抱いた。余計身体が密着して余計圧迫されたが、それでも順平は強く抱き続けた。

 前後の刺激に加え、薬の効果が絶大過ぎて突かれる度に指先、足先まで痺れ、身体が反った瞬間、自分の胸に向けて多くはないが射精した気がした。

 それでも真田は自分が2発目をするまで止める気はないのか、腰も手も動かし続けた。順平の身体はまた反応し、動きどおりに強制的に持ち上げられる。いつもなら、ここまでしつこいと腰が持たず疲れ果て、泣いて許しを請うところだが、薬が麻痺させているのか達する快感の方が強く、また狂い喘えだ。

 気持ち良過ぎて、可笑しくなり過ぎて、痺れて目が霞む…なんかキラキラした銀色入ってくる…銀色…銀色…ああ、オレの銀髪だ…銀髪…ああ、銀髪は真田サンだよなぁ…

 ボンヤリと、考えられたのはそこまでだった。後は「ああ、良い」とか「死ぬ」とか無意識に口から漏れているだけだった。脳までとろける様な、腰から火が出るような、そんな風に今夢なのか現実なのかも分からなかった。いや、どっちでもよかった。思ったのか口に出たのか分からないが自分で言った声が自分に返ってくるようだった。

「…オレ…真田サンになら…、…このまま…壊れされても、いい…」




 順平が瞼を開くと銀髪が映った。テキパキと手際よく片付けているような動きだった。まだ覚醒しない頭を捻ると柔らかい感触に包まれた。どうやら自分はベッドの上に寝ているようだ。身体を見ると綺麗に服を着ている。さらに目線を上げるとオレンジの陽が射していて眩しく感じた。身じろぐと真田が気付いて起きたか、と言われた。

「まだ夕方だ。あれから2時間程度しか寝てないから安心しろ」
「あ…あれから…?」

 順平は首を傾げてすぐ、青くなったり赤くなったりした。途端に身体が痛く、重く感じた。そして、そろそろ真田を見上げると妙にご機嫌だった。腹が立つほどに。

「…生でやった」
「ちゃんと出してやった」
「…病気なっても知んねぇっスからね…」
「ならない」

 何を根拠に言ってるのか呆れたが、真田の場合根拠も無しに言ってることが有り得るので聞く気にもならなかった。

 身体は言われたとおり処理してもらっているのか、さっぱりとしていた。恐らく全身、タオルなどで寝ている間に拭いてくれたんだろう。こういうところは妙にまめだ。

「思ったより簡単に意識無くしたな。まぁ、ドライで何発かイってたしな…いや、でももう少し起きてくれないと何のためにあんな強いやつを…」
「いやいやいや、身体ダルっっ!!起き上がれねぇし…、…つうか…怒って、ないスか…?」
「ん?んー…まぁ今日のところは…自分も少し反省するところがあった…気がするしな」
「はー…真田サンが反省!?え?どーゆー…      、…あ…あ?ちょ…ッ…今っ!今手に持ってたやつ!!袋にしまったやつ!!何スか!?何スかそれ!?」
「何がだ?」

 真田は意地の悪い笑みを浮かべたが、"目にした物がそう"なら、そして"それでされた"のであれば本当に笑えない。順平は顔を歪ませ、勢いよくシーツの中に包まった。そして…悲鳴を上げた。

「…最低っスよ…信じらんねぇ…あー信じらんねぇ…!!」
「そんなに怒るなよ…ちょっと剃ったぐらいで」
「ツルっツルっスけど!?顎ならまだしも…下はさぁ…オレおっぴろげて便所行けねぇよぉ…こんなん中坊の悩みじゃんかよぉ…」
「顎はバレるかと思って下にしたんだぞ?それにお前、その時は起きていただろ。少し抵抗したしな」
「覚えてねぇ!!無意識の微かな抵抗っスよそれ!!」
「まぁ、剃ってしまったものは仕方ないだろ」
「それ、オレの台詞!言ってもオレの台詞!!…あーもう恥ずかし過ぎるっ暫くはオムコに行けねぇ…ッ大体…あんな薬…マジ大丈夫なのかよ…」
「なら、なぁ…」

 シーツに包まり枕に顔を埋めた順平だったが、傍に近付いてきた気配がして顔を上げると、妙にかしこまった真田が目の前にいた。ベッドの横に膝をついて目線を合わしてくる。急なことに寝転んだまま目を瞬かせ、何故だか動きが固まってしまった。

「その…考えたんだがな…」

 真田は少し困ったように首を捻った。順平は考えた、という言葉に眉を寄せた。少し前に同じことを言われて酷い目に遭ったばかりだ。

 1人で暫く、「いや」とか「うーん」など何と言ったらいいのか悩んだ様子で、真田にしては珍しくはっきりとしない態度だった。目線を下にやり、横にやり、瞼を閉じ、息を吸うと、真顔で真田は言った。

「順平、結婚を前提に俺と付き合ってみないか」

 ありえないようなことをあんまりにも真剣に真顔でいうものだから、つい笑って抱きついてしまった。




fin.

2007/08/28

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