愛玩犬
寮の女性たちに生徒会の書記、部活のマネージャーに小学生。まぁその他諸々女性も男性も幅広く友好を持っている。この間は異世界のエレベーターガールと甘いひと時を過ごした。
何も知らない他人から見ればどれだけストライクゾーンが広いのかと思われかねない面子である。
そもそも決して社交的とは言えない自分だが、イゴールからの助言や、運命的な出会いもあってかここ数ヶ月で幾人もの人間と親密な関係を築くことに成功している。
特に意識しているわけではないが、少々長めの前髪を掻き上げながら相手を見つめつつ相槌を打つだけで、最近は目に見えて頬を染める人が増えたような気がする。もちろん誰彼構わず誑かすつもりは毛頭ない。しかし好意を向けられることは不快ではないし、シャドウの討伐においてもこれでペルソナが強化されるなら願ったりかなったりだ。
それが恋愛感情となるとまた話が変わる。好意を向ける相手は客観的に見ても可愛らしく、また美しい。恥らう姿など思わず見惚れるほどであるし、部屋に案内され、柔らかな手を重ねられれば世の男性と同じように興奮するし、性的衝動に突き動かされることもある。たとえ表情に変化が表れなくとも。
しかし、いくら周りの女性が、また例外的に男性が魅力的だろうと、同じように接し同じように好かれ、そのうち知らぬ間に修羅場が起こり…正直常にコミュ関係、特に女性と接する時は本人と周りの空気を読み、緊張している。リバースやブロークン状態にしてしまったら後々機嫌を直すのに何人もの人間に時間を大幅に割かなければならない。
もちろんペルソナのために利用しようと軽く見ているわけでも、適当にあしらっているわけでも決してなくて、各々を気遣うがゆえに…である。
必然的にコミュでの関係に過敏になるわけだが、それでも自分は思春期真っ只中である。いくら他人から表情や行動の変化が乏しいと言われようとも、欲求不満は嫌でも溜まる。男として寝付けない夜はやってきてしまうのだ。だが、その欲求を治まらせようと寮の女性の部屋に行く場合、誰かに見つかられでもしたらこの寮内で満足に生活する自信はさすがにない。家や寮が周辺に密集している学校の面子にも同じことが言える。かといって、夜な夜な手淫で慰めるのも一度行為を知った身としては物足りなく感じてしまうのは事実だ。
というわけでこの現状を何とかしてくれる人物を求めることに至った。個人的にコミュを築いておらずリバースもしない、されない相手。そして身勝手なこの言い分に付き合わせられる程、こちらが主導権を握り丸め込むことが容易な相手を。
そしてその相手は難なく見つかった。
「 っにしてんだよ…!」
自分の下で順平がもがきながら声を張り上げた。
幸か不幸か、自分の思惑にピッタリ当てはまってしまった人物にまぁ夜這い…正確には休日の昼間だから昼這いをかけに順平の部屋に堂々と侵入して、脱ぎ散らかした衣服や雑誌をパズルを解くように跨いで、気持ち良さそうに寝ていた順平の上へとダイブした。強制的に起こされて、男性平均体重よりやや軽めとはいえどっしりと腹上に乗られた順平は睡眠妨害と苦しさに不機嫌さを全く隠さず顔を歪ませていた。
「いいから、いいから。お前は黙って転がってろ」
「はァ!?おまっ…どういう…!」
「全部僕がしてやるから」
「してやる、って…!?つか何なのっ?何これ!?」
理解させるよりも無理矢理に行為を進めた方が流されやすい性格もあってやり易いだろうと強引、むしろ意味不明なぐらいで話を進めた。
唐突な上に寝ぼけ頭で状況が把握出来ていない順平は、不快よりも戸惑いが勝ってきたのか徐々に眉を八の字にして丸い目をコロコロと左右へ逸らせた。その顔がしょぼくれた犬のようというか、いつもより幼く感じられて、少し悪戯することが背徳行為で躊躇われるような、だからこそ湧き上がるものがあるというか。結論的には後者になったわけだけど。
「ンだよ…いきなり…。つか邪魔すんなって、今日は寝倒すんだからよー」
パジャマ代わりだろうグレーのスウェットが伸びるほど圧し掛かるのを迷惑そうにもがいていた。一応順平はシャドウ討伐の仲間だし、別に恨みがあって襲うとしてるわけじゃない。むしろその逆だ。だから自分の中ではせめて積極的な和姦ということにしておきたいので、軽く断りを入れておく。
「寝てていいよ。勝手に身体借りるから」
「へ…、身体?って 」
ピク、と反応して訝しそうな目をする順平に口元だけで微笑んでから、唇をからかう様に舐めると、途端に全身を緊張させてガチガチになった。初々しい反応に思わず笑ってしまうと、それを見た順平がぐぐっと耳や目元を朱に染めて顔を屈辱的に歪ませた。別に嘲笑したわけではないのに、と見つめてみるが余計に恥ずかしそうにして顔を背けてしまった。
「っ!?お、い…ッ」
「僕相手に見栄張る必要もないのに。…ほら色々溜まってるでしょ?」
「ふざけ…!!」
煽られたと思ったのか、また暴れだした順平のスラックスを下着ごと太腿辺りまで一気にずらしてやる。急に性器を曝け出された順平は驚愕して首まで真っ赤にして何とかしようともがくものの、脚は下がった布に邪魔されて固定されたままになっていて、必死に伸ばした手は僕の肩を掴んだところでビクンと震えて止まった。
「ッ 、お前っ…、何し…!?」
萎えていた順平の男根を根元から強めに掴んで持ち上げると、それをじっくりと観察した。握られていることに反応しているのか、怯えているのか、可愛らしくピクピクと蠢いていた。自分で慰めていたのだろうが、性交の経験はやはりなさそうだ。
言葉は不要とばかりに性急に行為を開始されて、訳が分からず、とにかく未だにもがく順平を戒めるようにさらにグッと強く握りこむと苦痛に大人しくなったが、口ではまだビービーと喚いていた。切羽詰った声は不快ではないので、それを楽しみつつ項垂れているそれに舌を絡めると、今度は驚きのあまり発する音が言葉にならずに硬直してしまった。
ただ軽く舐めるだけでは快楽が驚愕に劣ったようで、太腿に失礼にも鳥肌を立てていた。
「…失礼だな」
「ば、バカヤロ…!!やめろって!!」
「相手してあげてるのに。嬉しくないの?」
「ふざけんな…ッ、相手がお前で…っ、喜べっかよぉッ」
「ん、む…良い思いさせてやろうって言ってるだけだろう」
「っ !?う゛…ッ、咥えながら…しゃべんな…ッ」
順平が声に少し泣きを含めながら引き離そうとするも、袋に爪を立てると頭を振って嫌がる程度の抵抗になる。口一杯に頬張って、頭を前後に律動させて弄れば嫌でも咥内で膨張して硬さを増していく。文句を言っていた順平も強制的に快楽を引きずり出されてもう声を噛み殺すことに精一杯になっていた。
きっと僕の行動が理解できてないだろう。同性の仲間に訳が分からないまま襲われて、恐らく誰にも触れられたことのない性器に口をつけられて。それでも性感帯をピンポイントで弄くられれば自然と荒い息が漏れていた。流されやすいのも影響しているだろう。嫌だと、可笑しいと思いながらも意識が刺激の方に向いてしまっているはずだ。
刺激を与え続けながら瞳を持ち上げて様子をじっくり眺める。離そうと肩を掴んでいた手はもう縋るようになっていて、唇を噛み締め、固く目を閉じて耐えている顔が案外そそる。
「順平」
「っ…、う…ぁ…? ッ!?」
上目で顔をしっかり見ながら咥えたまま滑舌悪く名前を呼ぶと、薄く目を開いた順平とバッチリと目が合う。半ば流されてとろんとした瞳を向けた瞬間、目にした光景が余程衝撃的だったのか、それとも何かさらに興奮させる要素があったのか、目を大きく見開いて顔を先程以上に火照らせた。人間、赤くしようと思えば胸や腹まで出来るもんだな、と客観的に思う。それほど二人には余裕の違いがあっただろう。
「興奮した…?」
「ッ!!」
その言葉に素直に答えるかのように咥内で脈打ったことに満足する。わざと大きく水音を鳴らしながら口を離して、上目で再度顔を確認する。何が変わるわけでもないのに必死に視線から逃れようと目を強く閉ざして顔を背ける様が可笑しくて、くつくつと喉で笑いながら、ポケットからローションを取り出してから今度は自分の下着ごとスラックスを下ろした。
ベルトの金属音や布の擦れる音を不思議に思ったのか、順平が恐る恐る目を開いてこっちを見た。それに見せつけるように圧しかかったまま自分の指にローションを絡めて秘所へと埋めていく。
「んっ…は、ちょっと…待ってろ…」
「おっお前…何、してんだよ…!?」
「慣らして、おかないと…っん、キツイ、だろ…?お互いに」
「っなな何言ってんのお前!?まさかマジでヤるってのかよ!?それは無ェって、大体っ !?」
「いいから黙って寝てろって…一応準備はしてきたから、すぐ済む。…ああ、ちゃんと剥けてるみたいだし大丈夫だから」
「バっ…離せよッ、痛…ッ」
「煩い。潰されたいの…」
左手ですっかり勃ち上がった順平のモノを強く握り締めて黙らせ逃げないようにして、右手で自分の奥壁を押し拡げていく。洗浄済みだし、その際にある程度筋肉を弛緩させているからすぐにでも咥えこめる。あえて後孔を刺激するのはより興奮させるためだ、自分と順平を。…ほら、現に順平の喉が上下した。
どろどろの指を引き抜いて、その手でローションを適当に掴む順平の雄に垂れ流し、そのまま粘りのある水音を響かせながら扱けば、身体を震わせて今までより幾分か甘い呻きが漏れた。
「これ、好き?」
「ひ…ん…ん、…ッ」
眉を寄せながら鼻にかかった声を出して…ああ、腰浮いてきてる。確かに不感症でない限りこれだけ弄られれば快楽に逆らうことは難しいとは思うけど、つくづく素直というか流されやすい性格だなぁ。真田先輩だと跨る前に殴り飛ばされそうだ。
でもまぁ、思い通りになる犬は嫌いじゃあない。
「っん…ぁ…ちょっと耐えて」
「え…、お、いっ…待てって…ッ!! っあ゛…っく、う…ッ」
「っぁ、ん゛ぅ…ッ、はっ…」
僕の声にハッとして逃げようと上半身を起き上がらせた順平の首に腕を巻きつけて、跨いだ腰をゆっくりと下ろしていく。
圧迫感に顔を多少顰める。順平の方はあまりに強烈な刺激だったのか、
「ッ う゛、くっ…あ゛…」
「っ…イイ?」
「っう…う…、ふぅぅ…」
シーツを握り締めて食い縛った歯の隙間から呻き声のような喘ぎが漏れるだけ。こちらが少し腰を動かすと、それに合わせてさらに啜り泣く様に声を吐き出して身体を跳ねさせる。首に回す手にぐっと力を込めて引き寄せると、まるで自分の胸で泣きじゃくっているようで、思わず「よしよし」と頭を撫でたい衝動に駆られる。
「…は、全部入った…、ね…良過ぎる…?ちゃんと…っ身体支えて、くれない…?」
緩々と減り込ませて全て埋めきる。暫くはひんひん泣いていた順平も支えるというよりしがみ付いて身体をさらに密着させてきた。
固まってしまっている順平に代わって…いや元より自分で行動しようと思っていたから、攻撃的に腰を動かせた。嵌めている熱以外、下敷きにしている身体にはあまりダメージがいかないようには気を配りながら、ここ数週間溜まった欲望を発散させる。
その内に、ほんの少し力みが取れたのだろうか、初めての行為や激しい締め付け、驚愕、混乱がようやく快楽の終点へと辿ろうとしたのか、パニック状態だったものが落ち着きだして全身の強張りが取れ始めた。
「…おまっ…ちょ、自分で腰振ってんじゃねぇよ…ッ」
「やっと口が…利けるようになったくせに…、ァ…」
「はっ…!ぁ…待…、こ…これ…ちょ、すご…ッ」
腰を激しく動かせば順平は喉を仰け反らせた。顔は随分と悦に入っていて、強い刺激に何とかついてこれるようになったようだった。
「順平は動くな…腰揺らすのも禁止」
「そ、んな…」
「ああ、ン…、そう、そのまま…、…いいよ順平…」
「ぐ、ふぁ…、熱…っ、お前ン中…熱ィ…ッ」
絶対的な主導権を握るために行動を制限する。そして命令を出した時に漏らす悲哀の声がまた堪らない。
身体を固定させると自分の好きなように動いた。もちろん行為の目的は自分の欲求不満なのだから。立派な…とは言い難いが硬さがあればそれなりに満足出来る。
好きにされている方は、今度は悦楽が度を越したのか、今の状態がどうしようもなく堪らないのか、熱い熱いと啼きながらしがみ付く腕と腰を何とか動かそうと試みる順平の首筋に思い切り噛み付いた。自分の言いつけを守らなければいけないと身体に教え込む制裁のつもりだったが、順平は小さく悲鳴を上げながらも中に嵌めている雄を大きくさせた。もしかすると被虐的嗜好を開花させたのか、行為が全て悦楽に切り替わってしまうのか、元々そういう趣味があったのか。とにかく犬に好ましい一面をまた垣間見て何故だか興奮を覚えた。
順平がより一層しがみ付いて来た。もう、もう…と切羽詰った声を上げながら顔を擦り付けてくる。限界が近いのだろうが、僕の腰を掴み動かすこともなく、勝手に中に射精することもないのは、これまでの流れで勝手なことは許されないと思っているのだろうか。この短時間で躾は成功しているらしい、実に良い事だ。
「いいよ…出しても…、…一緒にイキたい?」
耳朶に唇を押し付け囁くと、順平はコクコクと懸命に首を縦に振った。
それを見て、順平の手を導いて自分の性器を握らせた。驚いたのか手を引っ込めようとするのを上から無理に握らせ数度上下に動かせた。温かい体温が伝わってくる。
「動いて気持ちよくしてあげるから、それに合わせて…順平も僕を気持ちよくして…?」
そう言って締め付けをきつくしつつ、上下に動くと、順平は喉を鳴らして、ぎこちなく、けれど熱を込めて手を動かし始めた。前後からの刺激でどんどん欲が膨らんでくる。
「っあ、あ…、「んん、っく…
弾むように激しく前立腺辺りに擦り付けるのを繰り返し、絶頂に達するとより菊門が締め付けたのだろう、順平も呻いて中に精液を吐き出した。暫く吐き出し続けている間、順平はしがみ付いて離れなかった。こっちが達して服を汚してしまったのは気付いてもいないらしい。気付いていても、もうどうでもよくなっているのかもしれないが。
「……、…すげぇ…」
身体を引き離すと、順平は若干放心した様子で上体を横に倒した。心なしか雰囲気も呼吸音も少し前と比べて艶が出たような気もする。何も知らない青年をつまみ食いしたというか、汚したというか、そんな背徳行為にも満足し始めているところまできているというのは自分でも恐ろしい。
「ありがとう、は?」
「あ…?」
「童貞卒業させてくれてありがとうございました、って」
「っお前が無理に…!!」
「大体挿れてる方が啼き喚くって…」
「なっ…あのなぁっ 」
「良かっただろ?」
「…っ、そういうのはさぁ…」
「僕が感じてるのにも興奮してたろ…?」
何度も何度も最中に順平の目が視線が僕の顔を身体を追う度に、絡む視線が体温が、嵌めている雄自身がそれを示していた。意識してか、無意識かは分からないが。
そっと近付いて囁くと、冷めかけた熱がぶり返すように顔を火照らせた。そしてすぐにフルフルと首を横に振る様に、また沸々と欲望が湧き上がってくる。
「っンなわけ…ッ!っ…な !?」
「僕は興奮したよ…順平が感じてるの…」
「何言…、 んん゛…ッ!?お前っ、どこに指ッッ !!」
順平の後孔に中指をぐっと挿し込んだ。当然、力を抜いた身体に異物を押し込まれ、急激な圧迫で息を詰まらせた。突然のことに錯乱しかけたのを何とか踏み止まらせたようで、叫ぶように声を張り上げて非難した。声を上げると中がまた締まる、指一本ですらぎゅうぎゅうだ。初めての行為で酷使した身体だが、可哀想に強張っている。顔も歪ませてどこか怯えているようだった。
でも、その顔が、張り上げる声がやっぱり甘美だった。
「…だからもっと見たい。交代しよう?」
「なっ…に言ってんだよ!さっきから無茶苦茶…!」
「自分だけ挿れておいて…ちょっと我が儘じゃないの?」
「っい゛…!!ゃ、おま…」
酷い理屈を捏ねているが、躾と言おうか、上下関係は最初にはっきりとさせて、叩き込んでおいた方がいい。
指を折り曲げて中を引っ掻いた。さらに人差し指も無理矢理捩じ込んで二本で左右に排出口を裂いてやった。順平の背が痛みで仰け反るが、それを押し付けて優しく諭した。
「あぁ、ごめん痛かった?初めてだもんなぁ…下手に暴れると…裂けて 」
「ッ!?」
「血が溢れて肉がグチャグチャになって…使い物にならなくなるかもねぇ」
「じょっ冗談じゃねぇ…ッ!!…ひ、ぃ…っや、やめてくれよぉ…ッ」
「大丈夫。良い子にしてれば…気持ちよくしてあげるから」
「さ、さっきヤッたばっかじゃねーか…腰だって怠い…」
「一度出しただけだし、もう一度ぐらいは出来るだろ?達せなくても、拡張の準備はじっくりしておいた方がいいし」
「かく…!?何尤もらしいこと言ってんだよ!!可笑しいだろ!?痛っ…ぬ、抜けよぉ…!!」
「じゃあ…何でも言うこと聞いてくれるなら…」
「そっ、んなの…狡ィだろーが…ッ、 ッぁ゛!」
「ああ、そう」
嫌だ嫌だと必死に首を振る順平を無視して行為を進めた。
始めての挿入ということもあって、終始顔を歪めて、全く分からない不快な感覚に怯えていた。いくら立場を教え込もうと言えど、怪我を負わせる真似はしたくない為、ローションを付けた指でゆっくりとゆっくりと出し入れを繰り返した。その内に前立腺を押し上げるとゾクゾクとする感覚に戸惑ってしまったのかポロポロと涙を零すほど本格的に泣き始めてしまった。
残念ながら怯える顔も戸惑う顔も泣き顔も、自分には目に愉しかった。可愛い女の子が白い肌を震わせながら感極まって泣く姿ももちろん興奮を起こさせるが、また別の興奮があった。普段お調子者の奴だから余計にだろうか。
背けようとするその顔を敢えて凝視し続けた。ヒクヒクと喉を引き攣らせる様を延々と上から眺めていると、何か言いようのない衝動に駆られて、捻る首を強く吸った。自分のものだという痕を見ると何だかすっと満足した。
「い…や…ぁ、痛 、怖ェ…ッ、頼む、からッ…!」
「…、…仕方が無いな…」
あまりにも怯えて泣きじゃくるものだから、今回は下準備とこの痕をつけたことをよしとして、解放してあげることにした。…ああ、でもその前に。
「順平、何でも…言うこと聞くよね…?」
次回の行為の時に、楽に進めるためにもう一度了承を得る。ついでに爪で軽く抉るぐらいのオマケはつけたけれど。
「っ…!!ぁ…き、聞く…聞きゃいいんだろ…!?だからっだからぁ…ッ」
「そう。素直で可愛いね、順平は」
その言葉にようやく指を引き抜いて、その手とは逆の手で頬を撫でた。ゼイゼイと喉が鳴るほど疲労した順平は、されるままになりながら、強張らせ曲げていた膝をゆっくりと伸ばした。
「…そういえばさ、監視カメラに寮全室の映像が録画されてるのって知ってた?」
そう囁くと惚けていた順平は表情をサッと変えた。
監視カメラのコンソールは今のところ寮の人間には特に意識されていない上に、風花を除けば機械の扱いが不得意の面子だ。順平に限っては使い方が全く分からないと言っていた。何なら今この場で携帯ででも映像を押さえる事も可能だけれど。
「何でも言うこと聞くんだよ…?」
そう優しく命令すると、熱っぽい息を漏らしながら順平がふるりと震えた。
その瞬間から、僕にはペットができた。…僕だけの犬が。
to be continued. 2009/05/14